キッチンのシンクに溜まる水、お風呂の排水口から聞こえる「ゴボゴボ」という不気味な音、そしてどこからともなく漂ってくる嫌な臭い…。パイプクリーナーを試しても一向に改善せず、複数の場所で同時に症状が悪化しているようにすら感じる。

もしあなたが今、マンションでこのような排水トラブルに悩まされているなら、それは単なる「つまり」ではないかもしれません。その正体は、マンション特有の構造が引き起こす「通気不良」や、建物全体の排水を担う「立管(たてかん)つまり」の危険なサインである可能性が高いのです。

「通気不良?立管?専門用語で言われても…」
「原因はうちの部屋?それともマンション全体の問題?」
「修理費用は誰が負担するの?高額だったらどうしよう…」
「何より、下の階に水漏れして迷惑をかけてしまったら…」

次から次へと湧き上がる不安で、夜も眠れないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ご安心ください。この記事では、そんなあなたの不安と疑問を解消するために、マンションの排水トラブルの根本原因から、今すぐ取るべき正しい行動、費用の責任問題、そして再発させないための予防策までを、専門家の視点から網羅的に、そしてどこよりも分かりやすく解説します。

この記事を最後まで読めば、あなたは混乱から解放され、冷静に、そして的確に問題解決へと向かうことができるはずです。トイレつまり全般についてより詳しく知りたい方は、トイレつまりの原因と解決方法総合ガイドも併せてご覧ください。

まずは症状をセルフチェック!これらは通気不良・立管つまりの危険なサイン

まずはご自宅の状況が、これから挙げる危険なサインに当てはまるか確認してみましょう。一つでも心当たりがあれば、個人で対処できる範囲を超えている可能性がありますので、特に注意深く読み進めてください。

サイン1:「ゴボゴボ」「コポコポ」という異音や悪臭、封水切れ

水を流したとき、あるいは上階の住人が水を使っているであろうタイミングで、排水口の奥から「ゴボゴボッ」「コポコポ…」といった空気が弾けるような音が聞こえませんか?

これは、排水管の中の空気がスムーズに入れ替わらず、無理やり排水口から出入りしている音です。

また、排水口のフタ(排水トラップ)を外したときに、本来たまっているはずの水(これを封水と呼びます)がなくなっている状態を「封水切れ」といいます。この封水は、下水管からの悪臭や害虫の侵入を防ぐ「フタ」の役割を果たしています。封水がなくなると、強烈な下水の臭いが室内に充満してしまうのです。

キッチンの排水口から同様の音がする場合は、キッチン排水口のゴボゴボ音の原因と対処法も併せてご確認ください。また、トイレで同じような音がする場合は、トイレのゴボゴボ音が示す危険なサインをご覧ください。

これらの症状は、排水管内の圧力が異常になっている、つまり「通気不良」が起きている典型的なサインです。

サイン2:複数の排水口(キッチン、浴室など)で同時に流れが悪い・逆流する

キッチンの流れが悪いだけでなく、洗面所やお風呂場、洗濯機の排水口など、家の中の複数の水回りで同時に排水不良が起きていませんか?

もしそうなら、原因は各排水口のすぐ下にある個別の排水管(専有部)ではなく、それらの排水管が合流する、より太い建物全体の排水管(共用部)にある可能性が非常に高いと考えられます。このような複数箇所で同時に起きるつまりは、マンション特有のトラブルの典型例です。

特に、「自分は水を使っていないのに、ゴボゴボと音がして排水口の水位が上がってくる」「上階の生活音が聞こえた後に、自宅のトイレの水が逆流してくる」といった症状は、建物全体の排水を担う「立管」が詰まりかけている、あるいは詰まっていることを強く示唆しています。トイレの逆流洗濯機排水口の溢れが起きている場合は、すぐに管理会社へ連絡してください。

【図解】なぜ起こる?マンション排水の仕組みとトラブルのメカニズム

「通気不良」や「立管つまり」と言われても、ピンとこない方がほとんどだと思います。ここで少し、マンションの排水管がどのようになっているのか、その仕組みとトラブルが起きるメカニズムについて、図をイメージしながら見ていきましょう。

自分の部屋は「専有部」、建物全体は「共用部」|排水管の構造と立管・通気管の役割

マンションの排水システムは、大きく分けて2つの部分から成り立っています。

  1. 専有部:あなたの部屋の中にあるキッチン、浴室、洗面所、トイレなどの各排水口から、床下を通って共有の配管に合流するまでの部分です。
  2. 共用部:各部屋(専有部)から流れてきた排水が合流する、建物を縦に貫く太い排水管です。これを「立管(たてかん)」と呼びます。

そして、この立管とセットで非常に重要な役割を果たしているのが「通気管(つうきかん)」です。通気管は、立管と並行するように設置され、屋上まで伸びて外気に繋がっています。

その役割は、読んで字のごとく「空気を通す」こと。ジュースが入ったストローの上を指でふさぐと、中のジュースが出てこなくなるのと同じで、排水管も空気の通り道がないと、水はスムーズに流れていかないのです。通気管は、大量の水が流れても管内の圧力が大きく変動しないように、空気を供給・排出する「呼吸口」のような働きをしています。

「通気不良」が引き起こす真空現象|ゴボゴボ音と悪臭の正体

では、この「呼吸口」である通気管が、屋上で落ち葉や鳥の巣、ゴミなどで塞がれてしまったらどうなるでしょうか。

  1. 通気管からの空気の供給がストップします。
  2. その状態で、上階の誰かがお風呂の水を一気に抜くなど、大量の排水が立管を流れ落ちます。
  3. すると、管の中の空気も水と一緒に押し流され、立管内が一瞬だけ真空に近い状態(負圧)になります。
  4. この強い負圧が、あなたの部屋の排水トラップにたまっている「封水」を、掃除機のように「ズズズッ!」と立管側へ吸い込んでしまいます。これを「誘引現象」と呼びます。

この時、「ゴボゴボッ!」という不気味な音が発生します。これは、封水が吸い込まれる音や、足りなくなった空気を補おうとして排水口から空気が無理やり入っていく音なのです。そして、下水からの臭いをブロックしていた封水がなくなってしまうことで、強烈な悪臭が部屋に立ち上ってくる、というわけです。

封水の役割や仕組みについて詳しくは、排水トラップと封水の重要性をご覧ください。

「立管つまり」が引き起こす大惨事|下層階で逆流が起きる仕組み

もう一方の「立管つまり」は、さらに深刻な事態を引き起こす可能性があります。

立管は、マンションの全住戸から流れてくる排水が集中する場所です。何年、何十年という時間をかけて、キッチンからの油汚れ、浴室からの髪の毛や石鹸カス、トイレからの排泄物などが少しずつ壁面に付着・蓄積していきます。これはまるで、人間の血管にコレステロールが溜まっていく「動脈硬化」のようなものです。

この「動脈硬化」が進行し、ついに排水の通り道が完全に塞がれてしまうと、どうなるでしょうか。

上階から流れてきた排水は、詰まった箇所で行き場を失います。そして、行き場をなくした汚水は、逃げ場を求めて詰まった箇所よりも下にある階の住戸(特に抵抗が少ない低層階)の排水口から逆流し、溢れ出してくるのです。

キッチンシンクや浴室、最悪の場合はトイレから汚水が溢れる…。考えただけでも恐ろしいこの事態は、「立管つまり」を放置した先にある、紛れもない現実なのです。マンション全体の排水トラブルについては、マンションのトイレつまりの特殊性も併せてお読みください。

【重要】修理費用は誰が負担?専有部・共用部で異なる責任の所在

トラブルのメカニズムが分かったところで、次に最も気になるのが「お金」の問題でしょう。修理にかかる費用は、一体誰が負担することになるのでしょうか。これは、トラブルの原因が「専有部」にあるか「共用部」にあるかによって、明確に分かれます。

原則は「専有部分は居住者負担」「共用部分は管理組合負担」

マンションの排水管トラブルにおける費用負担の原則は、以下の通りです。

発生場所 主な原因 責任の所在 費用負担者
専有部 トイレットペーパーの流しすぎ、異物の誤流など、居住者の過失によるつまり 居住者 居住者
共用部 立管のつまり、通気不良、配管の経年劣化など、建物構造上の問題 管理組合 管理組合

簡単に言うと、「自分の部屋の中だけの問題」であれば自己負担、「マンション全体の構造の問題」であれば管理組合の負担(=修繕積立金などから支払われる)となります。

今回解説している「通気不良」や「立管つまり」は、複数の住戸に影響を及ぼす「共用部」の問題です。したがって、その修理費用は原則として管理組合が負担することになります。これが、トラブル発生時に自己判断で業者を呼ぶのではなく、まず管理会社や管理組合に連絡すべき最大の理由です。

賃貸マンションの場合と火災保険が使えるケース

【賃貸マンションにお住まいの場合】
賃貸の場合は、建物の所有者は大家(貸主)です。そのため、配管の経年劣化や共用部のトラブルに関する修理費用の負担義務は、基本的に大家にあります。ただし、あなたの過失(例:大量の油を流して専有部を詰まらせた)が原因の場合は、費用をあなたが負担する可能性もあります。いずれにせよ、トラブルが起きたら真っ先に管理会社や大家さんに連絡し、指示を仰ぎましょう。

【火災保険が使える可能性も】
万が一、排水の逆流によって床が水浸しになったり、家財がダメになったりした場合、ご自身が加入している火災保険の「水濡れ補償」が適用される可能性があります。また、自分の過失で下の階に水漏れ被害を与えてしまった場合には「個人賠償責任保険」特約が役立ちます。一度、ご加入の保険証券を確認してみることをお勧めします。

通気不良・立管つまりが発生!まずやるべき正しい行動と相談先

それでは、実際にゴボゴボ音や排水不良に気づいたときに、あなたは具体的にどう行動すればよいのでしょうか。パニックにならず、以下のステップに沿って冷静に対処してください。

STEP1:慌てずに管理会社・管理組合へ連絡が最優先

何よりもまず、管理会社または管理組合の理事会に連絡してください。

絶対に、自己判断で水道業者を呼ばないでください。先述の通り、原因が共用部にある場合は、修理の手配や費用負担は管理組合が行います。勝手に業者を呼んでしまうと、その費用が全額自己負担になってしまう恐れがあるためです。

連絡する際は、以下の情報を整理して伝えると、状況が正確に伝わり、スムーズに対応してもらえます。

  • いつから:症状はいつ頃から始まったか
  • どこで:どの排水口で症状が出ているか(キッチン、浴室、洗面所など具体的)
  • どんな症状か:ゴボゴボ音、流れが悪い、悪臭、逆流など
  • 自分で対処したこと:パイプクリーナーを使ったなど、もしあれば伝える

STEP2:管理者の指示後に試せる応急処置とやってはいけないNG行動

管理会社などに連絡し、その指示を待つことが基本です。その上で、「業者を手配するまで、何かできることはありますか?」と確認し、許可が出た範囲で応急処置を行いましょう。

  • 封水切れによる悪臭対策:排水口にコップ1杯程度の水を静かに注ぎ、封水を補充する。
  • 排水の使用を控える:逆流の恐れがあるため、できるだけ水の使用を控えるよう家族に伝える。

一方で、良かれと思って行ったことが状況を悪化させるケースもあります。以下の行動は絶対に避けてください。

⚠️ やってはいけないNG行動リスト

  • 勝手に専門業者を呼ぶ:費用負担でトラブルの原因になります。
  • 強力すぎる業務用薬剤を使う:古い配管を傷め、漏水の原因になることがあります。
  • 熱湯を大量に流す:塩ビ製の排水管が変形する恐れがあります。
  • 何度も水を流し続ける:つまりや逆流を悪化させ、下の階へ被害を拡大させる最も危険な行為です。

プロへの依頼は必須?専門業者を呼ぶべき判断基準と失敗しない選び方

通常、共用部のトラブルは管理組合が業者を手配してくれます。しかし、「原因が専有部にあるかもしれないので、ご自身で業者を手配してください」と言われたり、管理会社が対応してくれない深夜や休日に緊急事態が発生したりすることもありえます。そんな時のために、専門業者を呼ぶべきタイミングと、失敗しない選び方を知っておきましょう。

こんな症状が出たら即相談!専門家を呼ぶべき危険なサイン

以下の症状が見られる場合は、一刻を争う事態です。すぐに専門業者に連絡しましょう。

  • 排水口から汚水が溢れ出している、または溢れそうだ
  • 下の階の住人から「天井から水が漏れている」とクレームが入った
  • 家中に耐えられないほどの下水臭が充満している
  • 管理組合から「原因箇所が専有部か共用部か特定できないため、一度専門業者に見てもらってほしい」と依頼された

トイレの水が流れない、流れが悪い場合の基本的な対処法は、トイレの水が流れない時の原因と解決法をご参照ください。また、水位が異常に下がっている場合はトイレの水位が下がる原因もご確認ください。

失敗しない優良業者の見分け方と費用相場

いざ業者を選ぶ際に、焦りから適当に選んでしまうと、高額請求などのトラブルに巻き込まれる可能性があります。以下のポイントを参考に、信頼できる業者を選びましょう。

  • 優良業者のチェックリスト

    • 水道局指定工事店であるか(自治体から認定された信頼の証)
    • 作業前に必ず無料で見積もりを提示し、料金体系を丁寧に説明してくれるか
    • 見積もり以外の追加料金が発生しないことを明言しているか
    • 公式サイトに豊富な施工実績やお客様の声が掲載されているか
    • 万が一の時のための保証やアフターサービスが充実しているか
  • 費用相場(共用部の場合の目安)

    • 高圧洗浄(立管など):50,000円 ~
    • 排水管カメラ調査:30,000円 ~
    • ※上記はあくまで目安です。建物の規模や配管の状況、作業の難易度によって費用は変動します。必ず作業前に確定した見積もり金額を確認してください。

トイレつまりの基本的な情報や、ラバーカップの正しい使い方については、ピラー記事のトイレつまりの原因と解決方法総合ガイドをご覧ください。ただし、マンションの立管つまりの場合は、ラバーカップでは解決できないため専門業者への依頼が必要です。

もう繰り返さない!マンションの資産価値を守るための予防策

無事にトラブルが解決しても、それで終わりというわけではありません。同じことを繰り返さないために、そして大切な住まいの資産価値を守るために、日々の予防が重要になります。

【個人でできること】油を流さない、定期的に掃除するなど日々の心がけ

立管つまりの最大の原因は、各家庭から流される日々の汚れの蓄積です。以下のことを少し意識するだけで、配管への負担を大きく減らすことができます。

  • キッチン:天ぷら油はもちろん、カレーやパスタソース、炒め物のフライパンに残った油も、キッチンペーパーなどでしっかり拭き取ってから洗いましょう。キッチンシンクの流れが悪いと感じたら、早めに対処することが大切です。
  • 浴室・洗面所:排水口のヘアキャッチャーに溜まった髪の毛は、こまめに取り除きましょう。
  • トイレ:トイレットペーパーを一度に大量に流さない。「トイレに流せる」と記載されたお掃除シートやブラシなども、つまりの原因になりやすいため、できるだけゴミとして捨てるのが賢明です。
  • 定期的な清掃:月に1回程度、市販のパイプ洗浄剤を使って専有部の配管をメンテナンスしましょう。トイレ用洗剤の選び方も参考にしてください。

【管理組合がすべきこと】資産価値を守るための定期的な排水管高圧洗浄

個人の努力だけでは、共用部である立管の汚れを防ぎきることはできません。そこで重要になるのが、管理組合が主体となった定期的な排水管清掃です。

専門業者が行う「高圧洗浄」は、強力な水圧で管内にこびりついた汚れを根こそぎ洗い流すことができます。多くのマンションでは、3年~5年に1度実施されています。

これは単なるメンテナンスではなく、深刻な排水トラブルを未然に防ぎ、マンション全体の衛生環境と資産価値を長期的に維持するための「必要不可欠な投資」です。ご自身のマンションの長期修繕計画に排水管清掃が組み込まれているか、一度確認してみるのも良いでしょう。

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